こちらは前回読んだターフィーショップで買った本の続編です。すでにこちらでも紹介されていた本ですので私も読んでみました。
『もうひとつの引退馬伝説2』:駆けた後の、愛おしい日常
本書は、ターフを沸かせた名馬たちが「引退」という大きな転換点を経て、どのように生きているかを丁寧に追った一冊です。全編を通して、馬を単なる「競技の対象」ではなく、一頭の「命」として慈しむ人々の静かな熱量が伝わってきます。
印象に残ったエピソード
• トウショウシロッコ:重なる献身の姿
重賞戦線で息の長い活躍を見せたシロッコの章を読みながら、私はかつてのキョウエイボーガンと、彼を支え続けた松本さんの深い絆を思い出さずにはいられませんでした←本来はこういう目立たない馬こそ次の馬生を考えないといけないはず。シロッコが引退後にどのような場所で、どのような人々に支えられているか。そこには、かつての「名脇役」を「主役」として迎え入れる人々の、損得勘定を超えた無償の愛があります。馬が人を信じ、人がそれに応える。その循環がもたらす穏やかな時間は、かつての名馬たちの物語とも重なり、胸が熱くなりました。
• タニノギムレット(ウォッカのパパ):今も続く、奔放な「王者の日常」
今も元気に過ごしているギムレットの章では、ダービー馬としての風格はそのままに、柵を壊すなどの自由奔放なエピソードが微笑ましく描かれています。それを温かく、時には苦笑いしながら見守る牧場スタッフの空気感からは、彼が今この瞬間も愛され、健やかに日々を重ねている幸せが伝わり、読んでいるこちらまで元気をもらえます。彼が牧柵を破壊しないとグッズが作れないため、ずっと元気で長生きしてもらわないといけないそうです。
• メイショウサムソン〔営業部長:お客様のお出迎えとお見送り担当〕:受け継がれる、気高き記憶
惜しまれつつこの世を去ったサムソンの章は、彼が引退後にどのような時間を過ごし、どれほど大切にされていたかを振り返る貴重な記録です。彼の持つ気高さや、ふとした瞬間に見せる愛らしい仕草。もう会うことは叶いませんが、関係者の証言を通じて語られる彼との日々は、今も誰かの心の中で鮮やかに生き続けているのだと感じさせてくれました。オーナーより少し先ににじのはしの向こうに行ってしまった彼は営業部長としてオーナーのお出迎えした事でしょう。
全体の感想
競馬を「勝敗のドラマ」として楽しむだけでなく、「動物としての馬」を愛するすべての人に刺さる内容でした。存命の馬も、すでに旅立った馬も、それぞれが愛された確かな証がここにあります。
読み終えた後、かつて応援した馬たちの幸せを心から願い、またその記憶を大切にしていきたいと思える、優しくて少しだけ切ない、そんな余韻をくれる一冊でした。
